サウスウエスト航空、またも伝統を破り受託手荷物有料化へ
長年、顧客満足度と従業員満足度を重視してきたサウスウエスト航空が、またもやその伝統を覆す決断を下しました。なんと、これまで無料だった受託手荷物を有料化するというのです。
格安航空会社からの差別化戦略からの転換
サウスウエスト航空は、「無料の手荷物預かり」というポリシーを長年にわたり広告戦略の柱としてきました。しかし、今回の発表によると、Rapid Rewardsロイヤリティプログラムの上位会員、ビジネスクラスのチケット購入者、または提携クレジットカードの保有者以外の乗客は、受託手荷物の料金を支払う必要が生じます。
具体的な料金体系は明らかにされていませんが、この新ポリシーは2025年5月28日の予約から適用されるとのことです。
CEOの言葉と株価の反応
サウスウエスト航空の CEO であるボブ・ジョーダン氏は声明で、今回の決定について、顧客ニーズへの対応、新たな顧客層の獲得、そして株主が期待する水準への収益性回復のための「大きな機会」であると説明しています。
この発表を受け、サウスウエスト航空の株価は市場が開く前の段階で6%以上上昇しました。
変わるサウスウエスト航空
今回の受託手荷物有料化は、サウスウエスト航空にとって大きな転換点となります。同社は昨年、50年以上続けてきた自由席制度を廃止し、2026年からは全席指定席を導入すると発表したばかりです。
また、同社は最近、アクティビスト投資家からの収益改善の圧力にさらされており、10月にはヘッジファンドのエリオット・インベストメント・マネジメントとの間で、委任状争奪戦を回避するための和解に至りました。
1750人の人員削減
さらに、サウスウエスト航空は先月、創業以来53年の歴史の中で初めてとなる大規模な人員削減を発表し、本社スタッフの15%にあたる1750人の雇用を削減することを決定しました。
これらの人員削減は、コスト削減と企業組織のスリム化を目的とした計画の一環として実施され、6月末までにほぼ完了する予定です。
収益への影響
サウスウエスト航空は、受託手荷物の有料化により年間約15億ドルの収入増を見込んでいます。しかし、同時に、手荷物無料を理由に同社を選んでいた顧客が他の航空会社に流れることで、年間18億ドルの損失が発生すると予測しています。
今後の展望
今回の受託手荷物有料化により、対象外となる乗客は料金を支払う必要が生じます。また、より低価格なチケットを購入した顧客向けの新しい基本運賃も導入する予定です。
規制当局への提出書類の中で、サウスウエスト航空は、第1四半期の利用可能な座席マイルあたりの収益が2%から4%増加すると予想しています。これは、以前の予測である5%から7%の増加を下回るものです。また、供給能力は約2%減少すると予想しています。
無料手荷物預かりサービスの継続
サウスウエスト航空は、Rapid Rewards A-List プリファード会員とビジネスクラス運賃の顧客には2つの無料受託手荷物、A-List 会員とその他の特定顧客には1つの無料受託手荷物を引き続き提供します。Rapid Rewards クレジットカードの保有者は、受託手荷物1個分のクレジットを受け取ることができます。
まとめ
サウスウエスト航空の受託手荷物有料化は、同社の収益改善への強い決意を示すものです。しかし、長年支持されてきた顧客重視の戦略からの転換は、顧客離れやブランドイメージへの影響など、長期的なリスクも伴う可能性があります。今後の同社の動向に注目が集まります。