CCN記者、またも名誉毀損訴訟! 元妻の「偽名」報道で提訴。 表現の自由と責任を問う。

またしても名誉毀損で訴えられたCal Coast Newsの記者カレン・ヴェリー。その理由とは?

カリフォルニア州サンルイスオビスポに拠点を置くCal Coast News(CCN)の記者、カレン・ヴェリー氏が、またしても名誉毀損で訴えられました。過去にも同様の訴訟で敗訴し、110万ドルの賠償命令を受けているヴェリー氏。今回は一体何が問題なのでしょうか? 今回の訴訟から、ジャーナリズムにおける責任と表現の自由について考えてみましょう。

訴訟の背景

今回の訴訟を起こしたのは、サンルイスオビスポ郡の弁護士、ジョン・ベルシャー氏の元妻であるジョディ・ベルナト氏です。ベルナト氏は、ヴェリー氏が2025年3月11日に公開した記事で名誉を傷つけられたと主張しています。

問題となった記事は、「サンルイスオビスポの弁護士ジョン・ベルシャーは偽名を使っているのか?」というタイトルで、ベルナト氏がアリゾナ州サプライズで夫婦として生活していた際に「偽名」を使っていたとヴェリー氏が報じたものです。

しかし、実際にはベルナト氏は2024年8月にアリゾナ州へ移住した際、ベルシャーからベルナトへと合法的に姓を変更していました。ベルナト氏は、元夫との離婚後、過去にストーカー被害に遭った経験から、身を守るために名前を変えたと説明しています。

ベルナト氏によれば、元夫のベルシャー氏とは離婚後も良好な関係を保っており、一緒にピックルボールを楽しむ仲だといいます。2024年12月にはアリゾナ州で開催されたトーナメントにも参加しましたが、その際、ベルナト氏は新しい名前であるジョディ・ベルナトを使用し、ベルシャー氏には家族名であるベイリーを使用するよう依頼しました。これは、彼女の過去の名前をストーカーから守るためでした。ベルシャー氏は、ピックルボールクラブやトーナメントでのみベイリーという姓を使用したと述べています。

ベルナト氏は、「再び名前を公表しなければならないのは残念だ」と述べています。また、「しかし同時に、反撃しなければならないし、何かをしなければならない。そうでなければ、もう耐えられない」と訴え、今回の訴訟に踏み切った経緯を明かしました。

ベルナト氏は、CCNに情報を提供し、彼女の隣人として引用されたスティーブ・ケーブル氏に対しても同様の訴訟を起こしています。ベルナト氏は、自身とベルシャー氏がケーブル氏と1、2度ピックルボールで対戦したことはあるものの、彼の住所を知らず、実際に隣人だったのかも不明であると述べています。

ベルナト氏の主張

ベルナト氏は訴状の中で、ヴェリー氏が彼女の評判を落とす意図を持って虚偽の情報を公表した、あるいは真実を軽視したと主張しています。また、自身が一般市民であると主張し、名誉毀損を訴えるための法的ハードルが低いことを強調しています。

過去の訴訟

今回の訴訟は、ヴェリー氏が2017年に敗訴した110万ドルの名誉毀損訴訟から8年後に提起されました。この訴訟は、ヴェリー氏が2012年に有害廃棄物処理業者チャールズ・テンボーグ氏を違法行為で告発した記事に起因するものでした。

ヴェリー氏は控訴を試みましたが、控訴裁判所はそれを却下し、2019年に判決を再確認しました。

ヴェリー氏は自身のラジオ番組や記事の中で、詐欺で反訴したため、判決の全額を支払わなかったと主張してきましたが、裁判所文書によると、詐欺訴訟は却下されています。

サンルイスオビスポ郡地方検事局が2021年に発表した報告書では、ヴェリー氏と彼女の私立探偵カール・クヌッドソン氏によるテンボーグ氏の偽証と詐欺の主張、および2012年の記事における一般的な主張を調査した結果、彼女の主張のほとんどは裏付けがないか、文脈から外れたものであったと結論付けています。報告書によると、ヴェリー氏とクヌッドソン氏の主張はいずれも刑事犯罪に該当するものではありませんでした。

テンボーグ氏によると、ヴェリー氏は債務者の試験に17回も出席した後、110万ドルの判決の一部を支払うことができなかったため、2万5000ドルで和解することに同意したとのことです。

記事から見える問題点

今回の訴訟を通じて、メディアが報道を行う上で注意すべき点が見えてきます。

  1. 事実確認の重要性: ベルナト氏が合法的に改名したという事実を確認しなかったことは、基本的な報道倫理に反すると言えるでしょう。
  2. プライバシーへの配慮: ベルナト氏がストーカーから身を守るために名前を変えたという背景を考慮せず、名前を公表したことは、プライバシー侵害にあたる可能性があります。
  3. 過去の事例からの教訓: 過去の名誉毀損訴訟で敗訴した経験を踏まえ、より慎重な報道姿勢を取るべきでした。

今回の訴訟は、カレン・ヴェリー氏とCal Coast Newsにとって、再び厳しい試練となるでしょう。訴訟の結果がどうなるにせよ、今回の事例は、ジャーナリズムにおける責任と表現の自由のバランスについて、改めて考えさせられるきっかけとなるはずです。

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